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こんな本を読みました
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    カルモのカウンターには、焙煎の待ち時間に読んでいただけるようにと、
    いろいろな本や雑誌を置いています。
    その中に「なかなかおもしろいよ」とオーナーが言っていた本があるので、
    読んでみました。


    中根光敏著『珈琲飲み 〜「コーヒー文化」私論』

    この本がおもしろいのは、
    書かれたのがコーヒー屋さんではなく社会学者の方だということ。
    幅広い文献に裏付けられつつ、人生を珈琲に魅了された著者の経験談をたっぷり味わうことができます。

    社会学の研究の一環として珈琲専門店で修業したり、
    全国の珈琲専門店巡りの話や自宅焙煎での格闘ぶり、
    生豆をエイジングしてみたり、そしていよいよ農園視察まで繰り出すほどの方で、
    コーヒー屋さんでもここまでできる人は多くないんじゃないかな…、と思います。

    日本のコーヒー文化の歴史も深〜く掘り下げて書かれていて、
    もちろん私は知らないことばかり…おもしろく読みました。
    種田山頭火が詠んだコーヒーの俳句(「朝蝉 澄みとほる コーヒーを一人」)を紹介しながら、
    明治時代から太平洋戦争までのコーヒー文化勃興の時代をひもといて書かれていました。
    着物の日本人がカフェーに集まって、どんな顔でどんな話をし、どんな味のコーヒーを飲んでいたのか、
    想像しながら読むだけでわくわくしましたし、
    明治時代から繋がっている「コーヒー」という飲み物の不思議さも感じました。

    遠い昔の話だけではなく、
    近年のスペシャルティコーヒーやサードウェーブにも触れており、
    「コーヒーがスペクタクル化している」という視点で論じています。
    興味深いです。


    (表紙を外すとレトロでかわいいです。背表紙にはルアックがいます。)

    他にも、バルザックの情熱的なコーヒー描写や、
    ベートーベンはコーヒー豆を60粒数えて淹れていたとか、
    コーヒーカップに取っ手を付けたのは伊万里焼を焼く日本人??とか、
    とにかくコーヒーに関する話題が満載で読み応えたっぷりでした。

    個人的には「美味しい珈琲とは?」の章の味覚の基準や「美味しいとは?」という話が特に興味深く、
    “「普遍的に美味しい珈琲」とは、未だ出会ったことのない美味しい珈琲を追及していこうとする営みの中にあるのではないか”、
    という表現に、なるほどと思いました。
    大坊珈琲店の大坊さんも、百人いれば百通りのこだわりや飲み方がある、とおっしゃっていますが、
    コーヒー好きの人はみんな、ときには変化していくことも受け入れながら、
    自分なりの究極の一杯探しがどこまでも続いていくのだな〜と思います。

    この本を読んで、「熱中」ってこういうことなのかな…、と深い世界にため息をつきつつ、
    コーヒーの世界の奥深さにまたわくわくする一冊でした。
    カルモの小さな本棚に置いてあります。


    (おまけ)
    最近読んで感動した本

    ジュンパ・ラヒリ『低地』
    インドとアメリカを舞台にした壮大な家族の物語でした。
    淡々とした文章なのに、時折ぐっと迫る表現があって感動しました。
     
    | 何気ない一コマ | 18:22 | comments(2) | - |
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      | - | 18:22 | - | - |
      コメント
      うひゃあ!中根さんの本!
      わしの通ってた学部の先生です。
      この本に出てくる「モンク」というお店が
      わたしが広島で一番美味しいと思っているお店です。
      ネルドリップ至上主義だったのはこのお店のせいでもあります(笑)
      いつか広島に来られることがあれば、ぜひ!
      | めっっしゅ(m_shenandoah) | 2016/04/19 5:36 PM |
      めっっしゅ 様

      コメントありがとうございます。
      中根先生の学部に在籍されていたとは!
      思いがけないつながりですね。
      当時から中根先生はコーヒーの話をされていたのでしょうか♪

      広島に行くことがありましたら「モンク」ははずせませんね、
      ぜひいつか伺ってみたいです。
      | カフェ・ド・カルモ | 2016/05/02 8:04 PM |
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